<本の姫>は謳う 1
多崎礼『“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)』中央公論新社,2007
多崎礼さんの作品感想
古の力によって作られたといわれている本によって、精巧な物語を再生することができる世界を舞台に、本の中にいる姫と少年・アンガスが文字を回収する旅を描いたシリーズ一巻目。
まずは驚くのがその不思議な世界観です。徐々に徐々に引き込まれちゃいますね〜。またアンガスたちの物語とともに、既に存在しないといわれている「楽園」においての、とある青年の生活も過去形の体裁で語られています。
背景も魅力的ですが、キャラクターも負けず劣らず楽しいやつらが登場です。なんと言っても、本を開いていない状態では無力なのに高圧的な態度をとっている姫が好きです。その態度の裏では、地味にアンガスのことを心配してるのもポイント高し。
途中から登場するジョニーもいい加減な性格しています。姫になじられてもまったくへこたれないその図太さが、笑える要素であり頼もしくもあり。
最後には奇妙な旅の道連れが増えますし、楽園での話は謎に満ちていますし、続きが気になって仕方ないのです。早く本を手にとりスタンダップを唱えなきゃ。
この小説が好きな人にお勧めする3
1、多崎さんの小説『煌夜祭』語り部によって繰り広げられる七つのお話。→感想
2、山形石雄さんの小説「戦う司書 シリーズ」死ぬと本になるという世界のお話。→シリーズ感想
3、細音啓さんの小説「黄昏色の詠使い シリーズ」色を基本とした召喚術を駆使する名詠士を目指す少年と少女のお話。→シリーズ感想