阪急電車

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有川浩阪急電車幻冬舎,2008
有川浩さんの作品感想


読書もいいけれど、たまには電車の中で人間観察をしてみたくなる物語。阪急電車今津線を舞台に各駅ごと様々な人たちの話が展開されます。
まず最初は、毎回のように図書館で出会う女性と電車からみえる「生」と書かれた不思議な中州の風景が組み合わさる話です。生ビールが飲みたくなる女の子のかわいらしさに乾杯。
続いての、ウエディングドレスのような白いドレスで乗り込んでくる女性の話が、読んでいて一番動揺したかな。最後に涙を流す場面には、こっちの涙腺も崩壊です。最後に至るまでのためがニクイ。
女子高生・えっちゃんの彼氏の話は笑ったな。アホやなー。ほんま何段オチやねん。現実で起こるバカなことは、きりがいいということがないから話のまとめ方に困る。


些細なことでけんかしてしまうカップルや大学生デビューを失敗したもの同士の男女の話もあり、そして電車は折り返します。行きには見えなかった、違った景色が見えてきてよかったです。
折り返し後の一番の笑いポイントはクリスマスプレゼント。渡してからも笑いとにやけが止まらないですよ。「頑張るから頑張って」ですって奥さん。
討ち入りさんも年の離れた友人ができたようでよきかなよきかな。
あとがきのサブタイ「この電車は回送になりますのでご乗車になれません。」でいい気分になりつつ、プリンセスメーカーで笑った。その例え方はどうよ。
とても面白かったです。でもこう、いい感じにニヤニヤできる本を読んでしまうと、電車の中で人間観察しようと思っても、それ以上に本が読みたくなってしまうから参っちゃいますね。


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