旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。

旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。  Amazon
コミカル4癒し4萌え2
萬屋直人『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)メディアワークス,2008
萬屋直人さんの作品感想一覧



名前が消えて行き最後には人の存在自体が消えるという謎の現象が起きており、ゆるやかに崩壊へと向かっている世界。そんな世界で、スーパーカブに乗って旅をする制服姿の少年と少女の物語。ジャケ絵の雰囲気買いです。


設定はシリアスなんだけど全体的にはコミカルで楽しいです。特に少年と少女のどつきあい、てか少年がボコボコにされる様子はいいですな〜。時々出てくる少女の面白い発言、例えば「ある意味おでんの気持ちが解るかも」などを読むとついつい笑顔になってしまいますよ。
あと、恋ともいえない二人の関係がおいしいですね。超特殊嗜好的服装に戸惑う場面とか少年とベットをギシギシいわせる場面とか再びの首絞めだとか、第3章は特にぐっときちゃいますよ。


世の中の多くのことは、言わないと伝わらないが、言わずに伝えることに価値があることも、きっとあるはず。」物語の魅力もこの一言に尽きますね。
農作業にいそしむ取締役と秘書のコンビや飛行機を飛ばそうとするボス、あるいは尊大な医者と姫様などに出会いながら、少年と少女は旅を続けます。ただそれだけの話であり、ただそれだけで素敵な物語でした。


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