隣の家の少女

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鬱10
ジャック・ケッチャム隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)』扶桑社,1998


ヤクザガールを貸していた友人から薦められたので読んでみました。苦痛というものを理解しているというデイヴィッドの子供時代の物語。
とても魅力的な少女・メグと初めて出会ったザリガニ取りのシーンはよかったな。ほほえまし子供のやりとりだ〜と温かいほっこりした気分になれました。男の子が女の子にドキドキする瞬間って素敵ですよね。


メグが近所の子供だと知ってさらにときめく心は抑えられなかったのですが、近所の子供たちとの遊び、「ゲーム」の話題が出てきた辺りからなんか重苦しい展開に。
デイヴィッドたちのいう「ゲーム」とは、一対大勢の対戦を行って一人の方が捕まったら両手両足を縛られて木に括り付けられ、さらに目隠しをされさるぐつわを噛まされ好き勝手にされるという罰ゲームつき。男だけならともかく、女の子が混ざったらどんなことになるか目に見えているわけで。……はいっ! そこ、ハァハァしない!
まあ、少年たちもメグをなんとかゲームに巻き込めないか考え始めるんだけど、当然の流れだよな〜。さらに子供の残虐性だけではなく、親も絡んできて地下室の存在が出てくるころにはもう暗黒一直線。


メグには妹のスーザンがいるんですが、姉妹ともども救いがなさ過ぎ。主人公のデイヴィッドもいつの間にか暗黒面に誘われているし。実際に手は出しはしないものの、好きな女の子がひどい仕打ちを受けているのに傍観しているだけで、さらには助けるどころか腹を立てたりとかもう普通の精神状態じゃないよこれ。
環境は悪化していくばかりでもう見てられない。狂気って加速していくもんだなと思い知りました。コンクリート事件とかそういうレベルでしょ。幽霊とかじゃないけど怖いよこの話は。
それにしても、なぜこの本は私に薦めたんだー。そりゃ最後まで一気に読んでしまったけど、面白くなかったわけじゃないけど、こんな残酷なお話は嫌じゃー!


ジャック・ケッチャムさんの作品感想


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