本格ミステリ07 2007年本格短編ベスト・セレクション

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ミステリ10 柳広司『芦辺拓『泡坂妻夫『石持浅海『北村薫『大倉崇裕『田中啓文『柄刀一『米澤穂信『
本格ミステリ07 2007年本格短編ベスト・セレクション (講談社ノベルス)講談社,2007


ミステリ短編のアンソロジー。色んな話が読めてお得ですよね。
柳広司さんの「熊王ジャック」動物記で有名なシートンが探偵役を務めます。ホラ話の中にある真実を見抜くネタふりからして引き込まれました。熊王ジャックの狩りの最中に起きた事件が語られることになるのですが、シートンの最後の言葉やハンティングがよかった。心が優しくなりそう。
芦辺拓さんの「裁判員法廷二〇〇九」現実でも実施が決定されている、裁判員のひとりとして法廷での一部始終が描かれています。殺人事件の謎ですが、まさしく逆転裁判系。やったことないですが。
泡坂妻夫さんの「願をかけて」江戸を舞台にした話。一本道で男を追っていたのに消えてしまうわけで……。今じゃ考えられないような事件ですな〜。
石持浅海さんの「未来へ踏み出す足」地雷除去をテーマにした作品の一編。地雷除去に使う接着剤を使われた、どう考えても内部にしかいない状況で死体が発見されます。後味悪すぎだけど、希望が残されていてよかったかなあ。難しい。
北村薫さんの「想夫恋」以前に読んでいるので割愛。(→感想
大倉崇裕さんの「福家警部補の災難」犯人は事前に示されるタイプの話。古畑は多少見ましたが、あんまり小説で読んだことなかったので新鮮でした。
田中啓文さんの「忠臣蔵の密室」あの有名すぎる忠臣蔵をテーマにした作品。討ち入りしたものの、吉良が密室で事切れていたのを発見するという話。雪が降っていなかったとか、微妙に聞いたことあるような話が絡んでくるので、知識あるほうが面白いのかも。ない私でも十分に面白かったですけどね。謎解きも楽しめました。それにしても、カーターディスクン!
柄刀一さんの「紳士ならざる者の心理学」博学の庶民派の天才、天地龍之介の話。機材の消失事件と死亡事故の真実を推理するのですが、心理学も大きく絡んできます。計画のきっちりさにすごいなと思いましたよ。
米澤穂信さんの「心あたりのある者は古典部シリーズの作品。ちょいと奇妙な校内放送から奉太郎と千反田が会話を繰り広げます。古典部大好きな私としては大変満足できました。こういうの大好きなのですよ。
評論は難しかったのですが、四つの場面からなるユニットでできているという話は面白かったです。配分や位置関係が重要なのですね〜。


柳広司さんの作品感想
芦辺拓さんの作品感想
泡坂妻夫さんの作品感想
石持浅海さんの作品感想
北村薫さんの作品感想
大倉崇裕さんの作品感想
田中啓文さんの作品感想
柄刀一さんの作品感想
米澤穂信さんの作品感想