鳥籠荘の今日も眠たい住人たち②
壁井ユカコ『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈2〉 (電撃文庫)』メディアワークス,2007
変人ばかりが集まるアパートを舞台にしたシリーズ二作目。
「第1話 人魚姫になるための間違った方法」キズナを慕う後輩・珠子の話。女の子を好きになってしまうことを気にして、変な方向に走り始める珠子だけれども、本当の狂気は怖いなー。さすが変人ばかりが集まるアパートだよ。
でも、最後のキズナのセリフがいいな。この一言ですべてがいい感じ。
「第2話 ザリガニ/万引き/スケッチブック」画家の浅井と従兄弟の井上が出合った頃の話。ひねくれてない子供時代の話なので、なんか新鮮でした。まあ、ひねくれてしまうのが仕方のないような子供時代ではあるみたいですが。
子供のふたりがかわいいなー。本当に。向かい合って正座するシーンとかね、もう最高ですよ。その分、現実に直面したのにはイタタタですね。いや、もう分かりきってたことだけれどさ。
「第3話 彼女と彼の気まずい日曜、彼女と彼女?のハプニングな土曜」前巻最終話の続きみたいな話。最後の引きが卑怯すぎる。おいおい、いったいこの先どうなるんだよまったく。
眠たげな住人たちが繰り広げる、ローテンションな日常が描かれています。本当に短編集風味が強いですね〜。一冊で色とりどりな作品を味わうことができてお得な感じ。
さてさて、住人たちはどんな風に目を覚まさせられるのかな。それとも、ずっと眠たいまんまなんだろうかね。