108年目の初恋

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恋愛⑧コミカル②
末永外徒『108年目の初恋。 (ファミ通文庫)エンターブレイン,2007


Mr.もやしさんの感想を読んで手に取りました。第8回えんため大賞・優秀賞受賞作品。
生徒達を見守る旧校舎のコウの視点で話は進んでいきます。ちょっとやんちゃな新入生の新や彼に振り回されつつもおっとりした姿勢を崩さない友久、新たちの幼なじみである夕子、生徒会副会長のリアンなどの面子を見守っていくことに。みんながみんな初々しさを残すいいやつらばかりです。


自分が原因で起きたとある事故から、生徒への接触を図らなかったコウですが、ちょっとしたきっかけで新に存在を知られることになります。コウの存在を知ってしまった新は、少し魔術を嗜んでいるリアン先輩と共に旧校舎の幽霊探しをすることに。
新と夕子の仲を取り持とうとして、戒めていた人間への干渉を始めたりと面白い展開だな〜。リアンと行動する新が、夕子を忘れてるんじゃないかと心配するけど深くは関われないなど、人間ではないはがゆさが伝わってきます。
新のモテっぷりには嫉妬します。純情そうな少年がモテるんですかね。夕子ちゃんには一途に思われているし、リアンとはいい雰囲気になるし、うらやましいぞ。でも、女の子に手を挙げないようにー。
コモン老人も好々爺然としたいいじいさんじゃ。ちょっとエロいところもあるけど、そこはそこで魅力的。


事故のことも絡めながら、コウは新たちに近づいたり遠ざかったりを繰り返します。中学生のストレートな恋愛なんて、見ているだけでキュンとしてきますね。初恋のうぶさがたまらないです。
コウとのやりとりを通して、あまりにも子どもだった新の成長もグッド。また、夕子の決断というか行動には胸が痛くなりますね。普通なかなかできないよ。
コウのジレンマもいいし、夕子の勇気も素敵なんだけど、私はリアンが好きです。ちょっと年上な立場と強気な態度、でも女の子らしいところもあるというのがツボ。リアンにも幸せになって欲しいなってのは欲張りすぎでしょうかね。
最後の最後まで恋一直線な物語でした。でも、そのピュアさがいい。


末永外徒さんの作品感想


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