ニライカナイをさがして

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恋愛⑥コミカル②癒し②
葉山透ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)富士見書房,2005


kirisakinekoさんの富士ミス四大青春小説を読んで手に取りました。高校生の拓郎が空港のポスターを眺めていると、ポスターのアイドル・梨花が隣にいてそのまま一緒に沖縄に行く話。
最初はドッキリカメラなどを心配していた拓郎ですが、次第に旅を楽しむようになります。ポスターからのイメージとは違う、我がままでデコピンの強い梨花に振り回されてるのも、なんだかんだ言いつつうれしそうです。
突然旅行に連れ出すのを初めわがままな梨花ですが、飛行機に乗ったことのなかった拓郎にさりげなく窓際を譲るなど、気配りもできるんだから魅力的。どれだけしばかれても、デコピンされても、私はついていきますよ!


中盤以降、台風が来ていても目的地に向かいたいと駄々をこねるなど、わがままを通り越して何やら秘密がありそうな雰囲気が漂います。拓郎のほうにも何やら秘密が出てくるようですし。秘密を抱えつつも二人は南の島の楽園・ニライカナイを目指します。
秘密はほっといても、旅行は十分に面白いです。「タクローって、バカみたいなのに、ほんとに、するどいね」辺りからは、胸がキュンキュンいって止まりません。
寝静まった後に交わす会話とか、史上最高のミッションインポッシブルとか、二人で夜空を見上げたりとか。素敵なイベントが盛りだくさん。しかも相手はトップモデルの梨花なんだから幸せの極みでしょう。
一番記憶に残っているのは、風呂上りに梨花がバスタオルで迫ってくるシーン。「しかたないわ。今日は私が手ほどきをしてあげる」なんて言われて死んでもいいと思った。私は二人を置いて、一足先にニライカナイへいくところでした。


でも、帰らなきゃいけない日がやってくるんですよね。それだけではなく、拓郎自身の失敗により状況は悪いほうへ悪いほうへと流されていきます。
どうしようもならない状況に陥るとはいえ、最後の最後で諦めなかったタクローはやっぱり偉い。う〜ん、甘酸っぱいなー。ゴーヤの苦さなんて軽々と吹き飛ばす、これが青春の味ってやつか。


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