殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO―

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鬱⑥バトル②恋愛②
風見周殺×愛 0 ―きるらぶ ZERO― (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2005


第7回龍皇杯で見事連載を獲得した作品。脱げ脱げコールも出てくるなど、高校生たちの華やいだ花見の場面が序盤にあるのですが、状況的には絶望しかないような話。
六年前から始まった世界滅亡によって、天使と呼ばれる謎の存在に町が破壊され始めます。思い出の場所さえもいとも簡単に消えてしまってますよ。どうにもこうにもならないのは、読んでて歯がゆいです。

危険な状況下の中、不死身の高校生である密は天使に抵抗しようとしています。不死身なこと以外にも隠し事があるような雰囲気の中で話は進んでいきますが、不死身だからか、密はちょっとすれた感じの性格してます。
しかも、すれてて鬱屈としているだけではなく、ここまで鈍感な主人公だといい加減腹がたってきますね。もう、全てを分かった振りして何も分かっていない馬鹿としか思えませんでした。幼なじみの来夏の積極的なアピールもことごとく無視しやがるし。
さらに許されないことに、傍観者面してて能動的に動かないくせして、ファンシーな熊を見たり、委員長の進路調査票を見たりしてます。要所要所では相手が見て欲しくないものをちゃっかし見ているんだからうらやましい。
密視点による乾いた空気が漂う中盤を救ってくれる憩いの登場人物は、凄腕のハッカーでもあるにゃみちゃんです。ねこっぽくて癒されます。そんなにゃみちゃんをいじめる密は、やっぱり悪いやつだ。
なのにモテるんだから不可解だ。ちょいワルな男がモテるのかー。ねたましい。


クライマックス直前までは、わりと予想できた展開だったのでボチボチですが、最後の最後できたなーって感じ。この巻はプロローグ的なものなんでしょうね、多分。続きを読まないと始まらないように思えました。
……最後でもうまく立ち回って女の子を一人落としてる密に、とてつもなく嫉妬する話でしたよ。


風見周さんの作品感想


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