コミカル⑦恋愛②ギャグ①
茅田砂胡桐原家の人々〈1〉恋愛遺伝学講座 (C・NOVELSファンタジア)中央公論新社,1999


webの感想を読んで手にとりました。元は角川ルビー文庫で出版されていたもの。桐原家を舞台にしたホームコメディ。
主にスポットが当たるのは、高校一年生の三つ子である眞己と都、猛です。真面目で頑固な性格の眞己が都に迫られるシーンから始まるので、一体どうしようかしらんと思いましたよ。……ちなみに猛が女の子で、眞己と都は男の子です。未知の領域ですな。
三兄弟を眺めているのはとても愉快ですね。都と猛は同性に好かれる性質があるようで、都の下駄箱に男から手紙が入れられていたりします。不純同性交遊なんて言葉初めて聞きましたよ〜。都の「ブルータス、おまえもか。」には思いっきり笑った。本当にバカバカしい。
眞己は世渡りのうまい都や猛と違い、真剣に悩み始めます。一目ぼれしてしまった自分に落ち込む上に、都からは「おまえが好きだって言ってるの。わかってる?」と再び迫られるしと、眞己の頭はパンク寸前までいきます。
そんな眞己を助けるのは、三期兄弟の兄である零。何回か眞己が零に悩み打ち明けたりすることがありますが、零がいいやつやな〜と確信するばかり。飄々とした感じも似合ってます。
こんな風にドタバタ楽しい家族の団欒が繰り広げられるのですが、「どんな順番で生まれたか分からない」「見た目が全然似ていない」などの問題を解決する、そして全てをひっくり返す爆弾発言が飛び出してしまいます。
いやまあ、そんな風かなとは予想しつつも、もう驚くしかない。祖母、母、姉の三女傑にはなんと言っていいのやら。三女傑の暴露大会は、その内容に合致しない語り口に笑わせてもらいました。
笑わせつつ、「俺たちにはドラマでも、あの人達には、本当に、現実だったんだよ……」なんてセリフが飛び出してきたりも。このシリーズは全部で四冊ですが、さて次はどんな話なのやら。
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