癒し④鬱③ミステリ③
杉井光神様のメモ帳 (電撃文庫)メディアワークス,2007


杉井さんが描くニート探偵・アリスが活躍する新シリーズ。アリスはドクターペッパーを原料に稼動しています。
カラーイラストのアリスちゃんは程よいエロさ。見た感じ色気はないんだけど、チラチラする部分に目がいってしまいます。なにかこう訴えかけてくるものがありますね? 主人公のナルミは、このニート探偵を名乗るアリスを初めニートな方々に、ニートの素質を見込まれていきます。
登場人物のニート率が異常に高いですが、このニートさんたちは自虐的に振舞いつつ何気に明るいです。ニートニートいってますが、さほど身構えなくても大丈夫そうでした。個性豊ではあるものの、普通な感じ。ニートって言葉のイメージを頭の中で作りすぎてたからかな。あるいは、私自身が既にニート色に染まってておかしさに気づかないのか?
様々なニートさんたちがたむろっている「ラーメンはなまる」の店主であるミンさんは素敵です。ナルミはやたらとふらふらしていますが、どっしり構えているミンさんとしゃべってるときは安心しますね〜。ナルミには、きっぷがよすぎる人くらいでちょうどいいようです。アイス食べたいよ。
もっとも、そんな安心も束の間の話でして。ナルミが不器用なりにも動き始めたところで、嫌な未来を予感させる一文が来るので落ち込んだ。事件が起きそうで起きないあたりがもどかしくて辛いです。嫌な未来は知りたくないけど、早めに見て安心したい雰囲気がすでに重いです。事件が起きてもやっぱり八方塞がりな感じがバリバリですけど。
事件の解決に向けて助け合うニートたちもまたすごい。いや、ヒモも少佐もボクサーも、スキルとか人脈持ちすぎだよ。ちなみに、探偵物語ではありますが、謎解き要素が占める割合は少な目な感じ。
ニートが前面に出されていますがニートに関する話題としては、嫌いじゃなくて想像できないんだよという意見とベクトルの話が印象的。人を評価する方法って難しいものですね。
謎を解決しても少しも晴れない話かも。でも、救いがない話ではないです。アリスの存在のおかげかな。無駄に不遜な態度も接するうちにかわいらしく思えてくるし、終盤のセリフ「これを見せたぼくを……恨んでいるかい」が出てくるシーンには痺れた。強がってる少女が好きなかたにもおすすめ。
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