燃える⑤泣ける③恋愛② 
佐藤多佳子一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-講談社,2006


陸上選手である新ニの高校生活を描いたシリーズニ巻目。
いじけていた新ニがプロサッカー選手である兄と良好な関係を築き始めていたり、悪友であり天才的なスプリンター・連の走りを参考にし始めたりと、後ろ向きな思考ではなく多少明るくなってきましたね。新ニが力をつけてきて、強者の後ろ姿を捉えることができるようになってきたからかな。ゆっくりと周りを見始める余裕ができてみたい。
もちろん、連たち部の仲間もレベルアップしてきてます。二年生になったので、プロテインやウエイトトレーニングを愛して止まない桃内など、個性的な一年生も登場します。
新ニが同じ部活仲間の生真面目な谷口と二人きりになるなど、ドキドキする場面もありましたね〜。陸上に打ち込むのに必死で、そこまで恋愛の深みにはまっていかないところが、なかなかにいじらしいですよ。
駅伝とか好きな私としてリレーが楽しい。もっとも、逆にバトンミスしたときの罪悪感とかも思い返しちゃいましたけどね。リレーの選手の一人で部長の守屋が先生に向かって謝るところとかは涙なしには読めない。守屋の「面白いよな、部ってな」という言葉には共感しました。バトンの受け渡しって本当に大切で貴重なものだと思えました。
バトンミスも辛いけれども、足の怪我の悲惨さは言うに及ばず。苦しいだろうな。それほど厳しい練習を課すこともなく、別段大きな怪我もしなかった私が想像できないくらいに。
陸上部に在籍したことある人ならぜひ読んでほしいな。私はマラソン走りたくなりました。まあ、腹筋だけに留めておきましたが。一巻で力を溜めたからか、二巻はさらに楽しかった。物語の締めくくりとなる三巻は一体どれほどの楽しさなんだろう。期待大です。
同著者作品感想