ヒートxファンタジーバトルxファンタジー
渡瀬草一郎空ノ鐘の響く惑星(ほし)で〈6〉 (電撃文庫)メディアワークス,2005


リセリナの肖像が出てくるなど、物語の発端ともなった「来訪者」の真相にも踏み込み始めたシリーズ六作目。カラーイラストでのリセリナとライナスティの講義も、板についてきているようで面白かった。世界観についての知識も深めやすいです。
剣聖と呼ばれるウィスタルの甥や謎の講談師など新キャラも多数登場しますし、名前は度々登場するもののあまりスポットが当たっていなかったウィスタルの過去も語られます。内も外も囲まれて八方塞がりの中で出されるフェリオの妥協案には、立場もわきまえた上での成長が見られます。基本的性質は変わらないまでも、以前とは違った魅力を持ったキャラクターになってきましたね。また前巻から状況は好転していないものの、ウルクは天性の素質で影響を与え続けています。そんなウルクを巡る駆け引きが起きた場面もなかなかスリルありました。敵側も一枚岩ではなく、神殿騎士団が不穏な空気を発し始めるたりするわけです。
内乱があり、隣国の脅威があり、さらに今回はもっと大きな視野で勢力争いの姿が見えてきます。またそれに伴って、「来訪者」たちの真実にも少しずつとはいえ迫ります。リセリナやムスカが、自分たち「来訪者」は一体何者なのかを考え始めたりも。最後は謎の残る終わり方ですね〜。いやこれから一体どう転がっていくのか見当がつきません。
同著者作品感想