最後の一文が薄ら寒いミステリxシリアス


米澤穂信ボトルネック』新潮社,2006


謎解き要素も含んだリドル・ストーリー。恋人の命日に東尋坊へと花を手向けにやってきたリョウが、自分は生まれておらず姉のサキが生まれているパラレルワールドに迷い込んでしまう話。ほとんど元の世界と変わらない世界ですが、リョウとサキは間違い探しをしていきます。
写真を撮るのが好きなフミカとの絡みなど、ちょっとした謎解きなんかもあるんだけど爽快感はなく、なによりもその痛さに目がいきます。もちろん肉体的な痛さではなく、精神的な。ほろ苦いをかなり通り越してはっきりとした苦痛ですよ。これ以上ないくらいに叩きのめされるとはねぇ。
失望か絶望かの選択は、絶望かなと思う。リョウは自分から何もしないため、失望はできないと思うから。そもそも、絶望のほうが痛いですよね。米澤さんならきっとやってくれると信じてます。……ネタバレしないように書くのは無理でした。他の人の感想も読み漁ろうと思います。
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