妄想するなというほうがおかしいですヒートxコミカル


海原零銀盤カレイドスコープ〈vol.7〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)集英社,2006


100億ドルの美貌と毒舌を持つフィギュアスケーター・タズサの物語も七つ目。これまではタズサを追いかける人たちの視点で描かれていましたが、三巻目以来久しぶりのタズサ視点です。そしてタズサ視点で語られるのは、女子フィギュア界のナンバー2であり聖女と評されるガブリーと1位の座を不動のものにしているリアについてです。途中途中で主だったスケーターへのインタビュー記事が載っていたり、お世話になっている高島夫妻の馴れ初めを聞いたり、家を放り出してる母との対面なんかもありますよ。
ガブリーはファンサービスあふれるエキシビジョンを引っさげて華やかに登場します。そのガブリーを街でふと見かけたことからタズサは急接近し、聖女と呼ばれる彼女の本質に切り込んでいきます。包み込んでくれそうな雰囲気を持ちつつ、タズサと粋な会話の応酬を繰り広げちゃうんだからすごい。同じレベルでしのぎを削りあうタズサとガブリーの明確な対比も面白かった。
リアは眼鏡っ娘として登場し、タズサを自分の豪邸へと泊まらせます。なかなか表情を見せずにおいて、的確な一言でタズサの顔を真っ赤にさせるとは。これが素クールってやつでしょうか。そして肝心なのはベットシーン。カラーイラストでもいらぬ妄想をしてしまいましたが、本文でさらに濃厚な絡みがあるとは想像していなかった。これだけでもおなかいっぱいになるほどドキドキしちゃいますよ。
タズサはリアの元コーチであり過酷な練習を課すマイヤの元で生活していますが、一向にリアへの勝機が見えてこない状況に悩みます。また、ライバルであるドミニクの一言も突き刺さります。激しく動揺するタズサですが、ガブリーとの電話越しでの会話を経て、全世界に向けて一つの宣言をすることに。うん、やっぱりタズサはこうでなくっちゃ。残すところあと二巻。終わりに向けての助走は十分なので、もうジャンプするのみですね。
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