何かの映画で見たことあるような?シリアスxラブ


壁井ユカコNO CALL NO LIFEメディアワークス,2006


電撃小説大賞・大賞受賞作でもあるキーリシリーズを書かれていた壁井さんの初単行本。イラストは一度タッグを組んだことのある鈴木次郎さん。やはりポップなイラストですな。さて、進路調査に「NASA」とか書き込んじゃう女の子・有海の話です。一緒に住んでいる従兄弟の航兄とのことで悶々としている有海ちゃんですが、携帯電話に謎のメッセージが残されていたり、埠頭で花火をやっていた春川という生徒と遭遇して物語は動き始めます。
半透明の幽霊とかホタルなどの周りに溶け込んでいるようで浮いている描写や、それにあわせて、刹那的で先のことまで考えていないような感じはやはりうまいですよ。有海ちゃんに限らず、春川もダブってたり親がいなかったりと居場所がないわけですが。誰からも必要とされていないのは寂しいですね。
電話の謎や航兄や暗い過去の話なども絡めつつ有海と春川の話は進んでいくんですが、似たもの同士過ぎるこの二人を見てるのは、世界が閉じちゃっててつらかった。途中までは、他人からのコールがなければ生きていけない、って意味のタイトルだと思ってたけど、自分からもちゃんと発信したほうがいい、って意味のほうが強いのかも。
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