崩壊が一歩一歩近づいてきているような、遠ざかっているような……?ホラーxミステリ


甲田学人断章のグリム(2) ヘンゼルとグレーテル (電撃文庫)メディアワークス,2006   類似検索


メルヘンホラーシリーズの第二弾。前回の余韻に浸った始まりから、蒼衣と雪乃の立ち位置の確定へと物語は動きます。一番に対比されているのは忘れることのできない理由づけでしょうか。その辺をはっきりさせています。
今回のキーワードは副題にあるように「ヘンゼルとグレーテル」です。終盤は相変わらずの嫌な感じの描写が続きます。「四章 かまどとパン」の気色悪さと言ったら甲田さんの作品の中では過去最高。あとがきによると「スプーン一杯ほどの、グロテスク。」らしいのですが、よほど大きなスプーンじゃないかと。
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でも確かに、今までの甲田さんの作品とは違うかもしれません。Missingシリーズにはなかった物理的な痛さが描写されていたし、夜魔とは違って登場人物たちの探偵っぽい面を前面に押してますしね。例えるなら、痛さをともなうことで青春っぽさを交えたメルヘン専門の『QED』シリーズ、みたいな。「――――見なきゃ。」こんな感じです。